みすみの花が開くとき

雪と誠は、明凪学園高等学校周辺では、ちょっとした有名人だった。





男子には英兎が―

女子には都が―

二年生には遥と充夏が―

二人の馴れ初めやら軌跡やらを、多少大袈裟に脚色して語ってまわったからだ。





英兎の話では、雪は白雪姫の様に―

都の話では、誠は王子の様に―

遥の話では、二人共ありのままに―

充夏の話では、充夏の活躍を増し気味に、それぞれ語られた。





『友達から聴いたんだけど…』―

『友達の友達から聴いたんだけど…』―





―それは広がっていった。