みすみの花が開くとき

「近衛君。愛って、何だろうね?」

「はい?」


準備をする手が止まる。


「愛、…ッスか」

「近衛君は、何だと思う?」


愛。

…愛か。





─想い続ける事?

─傷つかないように守る事?

─相手の望みを叶える事?

─相手に、安らぎを与え続ける事?

─頼る事?





まとまらないな。





「玉兎さんは…、何だと思います?」

「真心かな」

「真心…ッスか」

「愛って、『受』の真ん中に『心』って書くでしょ」





真ん中に、心…。





「凜さんいわく、近衛君の紅茶には、愛が足りないらしいね」


あぁ。そうだ。

僕は、凜さんを愛してなかった…。


「…はいッス。解りました」


準備、再開─





─愛を込めて…─