みすみの花が開くとき

「雪は、行きたい所有る?」


雪は頭を預けた。


「…あたしは、誠の隣に居られれば…」


雪。…わざとだったら、はっ倒すよ?

…今、心臓発作で死にそうなんだけど。


「雪…。顔、赤いよ?」


余裕ぶっても、心臓は大人しくなってくれない。


「…仕方ないでしょ…。あたし…、すごいドキドキしてるんだから…」


雪も?


「僕も。死にそう…」


雪ははにかむように笑った。


「…死んだら駄目だよ?…あたし、もっと…誠と一緒の思い出が欲しい…」

「僕も…」





照りつける太陽も、梅雨の湿気も、ジロジロ見てくる通行人も、どうでもよかった。





貴方が、隣に居る─





それだけでよかった。