みすみの花が開くとき

ヘアピンをじっくりと眺める。

黒く、しなやかなヘアピンの本体─

先に添えられた、小さい白い花─


…普通のヘアピンだな。


「聡兄ぃさんは、なんで雪にこれをくれたんだろうね?」

「多分だけど、その花が好き…って言ったからかな。…あと、あたしの誕生花だからかな?」


誕生花、か。


「へぇ。なんで、好きなの?」

「初めて見たときにね、…葉っぱが良いなって思ったの」

「花の方がよくない?」

「知らないでしょ…?」

「うん」

「その花の葉っぱはね…ハートがくっついたような形をしてるんだよ」


ハートが、ねぇ。縁結びのおまじないとかに良さそうだ。


「この花、なんて名前なの?」

「確か…雪割り草。あ、でも、…もう一つ名前が有ったかな?」


後で、調べてみようかな。