みすみの花が開くとき

「それって…」

「一応、あたしの物だし…」

「お気に入りじゃないの?」

「…お気に入り、だよ。大切な人…聡兄ぃからもらった物だし」

「じゃあ、なんで…」

「だから…、誠に…もらって欲しいの」

「え…?」





「…大切な人に、持ってて欲しいの…」





…その言葉が、どれだけ僕の理性に毒か…。





「雪…!」





「…だめ…」


抱き締めかけて、制される。


「…ここは公共の場だし、あたしは、ぬいぐるみとヘアピンを両手で持ってるんだよ」

「…雪が悪い」


雪はいたずらっぽく笑った。


「…夜まで待って…?…ね?」





…エロい意味じゃないって事は、解ってるんだけどなぁ。