みすみの花が開くとき

「なんで、それが欲しかったの?」

「なんか、…似てない?

この兎は英兎くんで…、この樹は柾。

新撰組のコは…、誠」


…こういう時でも、あの二人の事、考えてるんだ、お姉ちゃん?


「…僕のだけでいいじゃん」


雪は可笑しそうに笑った。


「誠。…ヤキモチ?」

「デートしてるのに、他の男の事、考えるから…」

「…かわいいよ」

「どうせ、年下だし?」

「拗ねないでよ…。後で柾と英兎くんにあげる用なんだから…」


おみやげか。少し、安心した。


「雪のは?」

「…あたし?」

「雪っぽいのが無いじゃん」

「あたしは、新撰組のコが居れば…」

「それは、僕じゃん。雪だけ居ないなんて、寂しい…」

「あたしが居ないのが、寂しい…?」


バレてるな。


「僕だって、雪が欲しいよ」


雪はまた、可笑しそうに笑った。


「誠。かわいいね…」

「欲しい物は欲しいの」





雪は、白いヘアピンを抜いた。

雪が欠かさずに付けていた物だ。


「…ぬいぐるみじゃないけど、…これじゃ、だめ?」