みすみの花が開くとき

「…じゃあ。…あれと、あれと、あれ…」


雪がおずおずと指したのは、ぬいぐるみのガラスケースの中。

ニヒルに笑う兎と、少し眉を怒らせた人面樹と、流行りのキャラクターが新撰組の羽織を着ているぬいぐるみだった。


「意外と欲張りだね」


雪は頬を膨らませた。


「…いいじゃん」


「冗談。任せといて」





十分後。





二人の英世と引き替えに、UFOは雪の願いを叶えた。


「…誠。頑張りすぎ…」


…バイト、しようかな?部活と兼任出来るかな?


「…でも、ありがとう…」


雪は照れたように伏し目がちに笑って、UFOの功績を抱き締めた。


…英世二人ぐらい、安いよな…。





溶けそうだ、本当。