みすみの花が開くとき

「…英兎…」


英兎は僅かにうめいた。


「…英兎。…なんで…」

「…誠の…、ば~…か」


英兎は目を細めた。


「…雪お姉ちゃんは、繊細で…、キレイで…。

トラウマなんかに負けて欲しくなかった…。

強くなって欲しかった…。

それか、雪お姉ちゃんを守ってくれる人を見付けないと…」

「…雪は、もう、十分に強いと思う」

「…少なくとも、襲われかけただけでトラウマになったりはしないだろうね」

「…それに…、雪は…」

「…雪お姉ちゃんは…?」





「僕が…守る」





長い、沈黙。





「聞いたからね…?」

「あぁ…」


必ず、守ってみせる。


英兎は立ち上がった。


「じゃ、雪お姉ちゃんをよろしくね」

「あぁ」


英兎はぱたぱたと去って行った。