そうこうしているうちに、入学式が始まった。

長い校長の話を聞いてると眠くなってきて、あたしは隣に座っていたコに肩をつつかれた。

「おーい。大丈夫?」

かわいらしい笑顔に、くりっとした大きな目。

甘い声にあたしは一瞬たじろいだ。

「へっ!?あ、ごめん、寝ちゃってた?」

「うん。ぐっすり♪」

「あ......ありがとう」

そう言ったあたしに、そのコは不思議そうな顔をしてきいた。

「どうしたの?その格好」

やっぱり、おかしいよね。

でも、彼女に悪気があるようにはみえなかったから、ちょっとだけ、思っちゃった。

「これは、言えないんだけど、良かったら友達になってくれない?」

「そっか。私は高崎愛莉。アイリ、でいいよ♪あなたは?」

高崎グループのお嬢様かぁ。

あたしも聞いたことがあるような大企業だ。

「あたしは、小原桃香。よろしくね、アイリ」

アイリはあたしの名前をきいて、驚いたみたい。

「え、小原って、小原財閥の!?」

「うん。アイリだって、高崎グループのお嬢様でしょ?」

「そうだけど、やっぱり桃香には負けるよぉ。ふふっ。よろしくね」

こうして、あたしがアイリと話してる間に、入学式も終わっていた。