あたしはそのあとしばらく立ち尽くして
誰に声をかけられようが
聞こえないかのように無視していた

ハッと気づき時計を見ると
5分たっていた。
たった一瞬のように感じたのに…。

もう一度、あの男に会いたくて
ネオンの光の中を歩き続けた。

いくら歩き回ってもあの男どころかあのキャバ嬢までもが見つからないい。

はぁ…。

ためいきをつくしかなかった。
見つからないまま1時間半がたって
もう0時30分
流石に疲れた。


そのあとあたしは一番頼りたくなかった人の家へとむかった。
幼馴染の隼斗の家だ。
親から離れて一人暮らしをしている。

あたしは男として見てないから気にしないけど、周りが変な目で見るから、あたしたちは自然と避けていた。

でも今は頼るしかない。

ネオンの光る街から歩いて30分。

ピンポーン…

出ない。
…寝たのかな?


ピンポーン…

もう一回。


ガチャ


「あーもー、うっせーよ。誰だよ!」

「あ、あたし。ごめん。泊まらして。おじゃましまーす」

唖然としている隼斗を置いて、あたしは部屋の中へと図々しく入っていく。
後ろから盛大なため息が聞こえるけど、そんなの気にしない。