「ところで、2人の希望の種目は?」
「私は短距離です!」
「私は、マネージャーになりたくて」
「あー…ごめんね、うちはマネージャー募集してないんだ。」
申し訳なさそうに先輩は眉をひそめた。
「自分のことは基本、自分でやる!っていうのがうちのモットーで。
さすがにタイム測定とかは自分では出来ないから、友達に頼んだりするけどね?」
ほら、あんな風に。と先輩が目線を移した先には、何人かが走っていて、それを測定している女子の姿。
先ほど見た時、私はてっきりあの人はマネージャーなんだと思っていた。
それに今目の前で説明してくれてる先輩だって…
「というわけだから…ごめんね?
よかったら、選手として入らない?さっきも言ったけど、初心者の子も結構多いし!」
「えっと…私、走るのはちょっと…」
走るのが苦手というか、そもそも体力がなくて、この練習を見る限り、絶対に食いついていけないことが容易に想像できた。
「そっか…それなら仕方ないかな…
でも!気が変わったらいつでもきてね!」
「私もみーちゃんのこと待ってる!
でも、無理しないでね?」
「ありがとうございます!」
2人の言葉がすごく暖かくて、なんだかホッとした。
「うーん。どうする?これから部員全員で外周行くんだけど…
良かったら、ついてくる?」
先輩の視線の先にはもちろん鈴が。鈴はすごく行きたそうな顔をしたあと、すぐになにかを思い出したらしい。
「えっと、今日、体操服持ってなくて…」
「あー、そうだよね。
そもそもまだ注文してる最中か。」
「はい。」
「じゃあ、また今度、一緒に走りにいこう!」
「はい!ありがとうございます!」
そう言って先輩は部活へ戻っていった。
「いい先輩ばっかみたいで良かったね!」
「うん!あー、早く走りたいな!」
鈴は先輩たちが集まってこれから走りに行くであろう様子を見ながら、うずうずしていた。
ほんとに走るの好きなんだなー
私も何か得意なことがあればいいんだけど…
「そうだ。みーちゃん、部活どうするの?」
「うーん。どうしよう。」
もしかしたらマネージャーを募集しているところは少ないのだろうか?
いや、別にマネージャーじゃなくてもいいのだけど…練習ついていけそうなところがいいな…
「鈴、色々見学するのついてきてくれる?」
「もちろんだよ!どこまでもついていくよ!」
鈴にそう言ってもらえると、本当に心強い。
よし。私もいい部活見つけよう!
