そこからは早かった。

担任の話は、私がこれからの学校生活を想像しているうちに終わっていたし、入学式に出席するため、移動をする間も鈴と話しながら歩いたため、あっという間だった。


そして、今は入学式の真っ最中である。

いつになってもあの長い校長の話は慣れない。


しかしこれもまた担任の時と同様、軽く聞き流し、入学式を終え、教室での軽いホームルームも終え…


あとは帰るだけ、そう思っていたのだが。


『あ、そうそう。今日から仮入部期間だから気になる部活あったら見学しに行けよー。1年は絶対部活に入らなきゃいけないことになってるからな。早いとこ決めとけよ!』


この担任の言葉によって早々に帰るわけにもいかなくなった。

まぁ正直のところ、入る部活は何も決めておらず、どうすればいいのか全く見当もつかないのだが。
ちなみに中学の時はバレー部に入っていた。が、まぁ所謂弱小チームで。練習という練習もしてこなかった上、幽霊部員が何人もいた部活である。
言わずもがな体力なんぞつくわけもなく。高校でバレーを続けたいとも思わなかった。


「みーちゃん!」

「鈴?なに?」

「みーちゃんは部活決めてる?」

「まだなんだよねー。鈴は決めてるの?」

「うん!中学も陸上やってたから高校でも続けようかと思って!」


鈴は陸上か。似合うなぁ…
きっとその黒髪を靡かせながら風のように走る姿はカッコいいのだろうと思い、思わず笑みがこぼれた。
なんだろう。自分が走るわけじやわないのに、鈴の走る姿を想像するだけで心が踊る感じがする。

これは鈴の天真爛漫な性格からなのか。はたまた美桜の創造力の高さゆえなのか。
どちらにせよ鈴の走る姿を見てみたいと思う美桜であった。




「みーちゃん、まだ決めてないならさ、一緒に陸上部見に行かない?」

「行く!
あー、陸上部のマネージャーもいいかも…!」

「それいい!みーちゃんがマネなら、私も頑張れそう!」


マネージャーというのも中学では無かったものなので、私は少し興味があった。

鈴と同じ部活なら私も楽しく出来そうだな、と密かに思いながらグラウンドへと向かった。