「俺、帰るわ」 「え?」 唇を離したあと、 カバンを持って立ち上がった裄。 呆然と裄を見つめるあたし。 いつもそう。 キスをして、そのままあっさりと別れる。 少しくらい甘い空気になったっていいのに。 そりゃあキスしてる時だって 充分甘いけどさ。 それだけじゃ足りないっていうか……。 とにかく裄の全てが欲しい。