朝食を終えて、あたしの代わりに裄が食器を洗ってくれる。


「そう言えばさ、今日だっけ? 槇が行くの」

「あー、そうそう。朝一の飛行機で行くって言ってた」


槇は今日、

ずっと離れていた、綾子を迎えに行く。

数年経っても、二人の想いは変わらなくて。

槇は綾子を、迎えに行くことを決意した。


「でもさ、良かったよな。槇と綾子が、また一緒にいるようになって」


洗い物を終えた裄が、あたしの隣に座って言った。

そして、あたしのお腹に手を添える。


「こいつが生まれる時は、4人でいられるな」

「そうだね」


あたしは裄と、見つめ合って笑った。

今の幸せを、感じるように。



テーブルの上にあるスポーツ紙。

その一面には。


“バドミントン男子
笠原・山本ペア
悲願の日本一!!”


《END》