恋も試合も全力で!



その時、

遼多が口を開いた。


「姉ちゃん。俺さぁ、裄さんの気持ち分かるんだよな」

「え?」


思わず遼多の顔を見ると、真剣な表情であたしを見ていた。


「もし俺が、裄さんの立場だったとしたら、香波に同じように言ってると思うんだ」


あたしは、遼多の話に静かに耳を傾けた。


「チームに入るなんて、そんな嬉しい話、断ろうとは普通思わない。
でもさ、裄さんには姉ちゃんがいるから。裄さんが悩んでた理由はそれだと思うんだ」


「行き先が東京ともなれば、無理につれて行くこともできない。
相当悩んだと思うよ?
姉ちゃんの将来にも、関わってくるわけだから」


「姉ちゃんさ、もし裄さんに、
“東京行きの話がある。ついてきてって言ったら、ついてきてくれるか”
って言われたら、すぐについてくって言ってた?」