「でも………
あたしには、裄が必要なの。裄のことが大好きなの。
裄と一緒にいれば幸せになれるって、それも分かってるの。
けどね……」
あたしは、裄が好き。
裄があたしの全て。
だけど、あたしの中にある思いは、それだけじゃない。
「あたしは、みんなも大事なの。
お父さんもお母さんも、もちろん遼多も。
綾子も芽生も璃紗も香波も。
みんな大事なんだよ。離れたくないの」
みんなと離れるのが、怖い。
大好きなみんなと、遠くなっちゃうのが寂しい。
「それに…
東京っていう何も知らない町で、裄を支えていく自信もない」
みんながいなきゃ、あたしは強くなれない。
何も、自信が持てないんだよ。

