「すごく勝手なんだけど、浅海にもついてきてほしい」 「え?」 あたしの手を強く握りしめて、裄は言った。 「浅海に、ずっとそばにいてほしいんだ。 だから、俺と一緒に東京に来てほしい」 裄を見つめたまま、あたしは言葉を失った。 いきなり、東京だなんて言われても… そんなこと、考えたこともなかったし、考える必要もないと思ってた。 裄はずっとこの町で、体育の先生として生きていくんだと思ってたから。 突然の報告に、あたしは何も考えることができなかった。