「お世話になりました」


1泊2日の旅行を終えて、あたしたちは地元へと帰る。


新しい裄を知ることができた。

楽しくて、幸せで。

最高な旅行だった。



帰りの電車の中では、ずっと裄と手を繋いでた。

何も話さず、外の景色を眺めて。


そんな時間さえも、居心地のいいものに感じてた。



だけどあたしは、何も気付いてなかったんだ。

裄の、気持ちの変化に。


気付いてなかったっていうより、気付かないようにしてた。


それが、あたしたち二人にとって、何かしら影響のあるものだと、感じていたから。


裄との幸せな日々が、少しだけど崩れると、

分かっていたから。


そしてそれは、槇と綾子にも、関係していたなんて、


あたしはまだ、知らなかった。