「ありがとうございました」 夕方になり、 あたしたちはホテルに帰ることにした。 「裄。会えて良かったよ」 「俺もです、コーチ」 裄と志田コーチは、固く握手を交わしていた。 「浅海ちゃん。裄くんと仲良くね」 「はい」 加藤さんも、微笑みながらあたしの手を握る。 「また、遊びに来いよ」 「はい。また来ます」 「元気でな。彼女も」 「はい」 コーチと加藤さんは、笑顔で送り出してくれた。 裄が育った場所は、本当に温かかった。 二人は、姿が見えなくなるまでずっと、 手を振ってくれていた。