あたしは小声で槇くんに話し始めた。 なんとなく綾子に聞こえたら怒られそうだから。 「綾子ね、団体で優勝が決まったとき、1番に来てくれなかったのが悲しかったんだって」 あたしがそう言うと、 槇くんはほんのり頬を赤く染めた。 「なんだ、それっ」 照れ隠しに呟く槇くん。 多分すごく嬉しいんだろうな。 「もうー! なんだよー!」 「槇?」 少し大きくなった槇くんの声。 それに気付いた綾子が、こっちを向いた。