「裄が引っ越したのは、もう10年以上も前だよな? いくつになった?」 「22になりました」 「22か。てことは、大学4年か? 大きくなったなぁ」 まるで親のように、微笑ましい表情の志田コーチ。 志田コーチに会えて、裄も嬉しそうだった。 その時、コーチと不意に目が合った。 あたしは慌てて頭を下げた。 「えっと…もしかして、裄の彼女か?」 少し目を丸くして、コーチは聞いた。 「は、はじめましてっ。梨元浅海といいますっ」 あたしはもう一度、頭を下げた。