裄は、繋いでいた手を離して、
あたしの頭を自分の肩に引き寄せた。
さっきよりも密着しているあたしたち。
あたしの胸の鼓動は、だんだん速くなる。
「俺、昔から決めてたんだ。
本当に大切に思う人をたった一人だけ、この町に連れてこようって」
そう、ゆっくりと話す裄に、あたしは熱いものが込み上げた。
「浅海を好きになった頃からずっと、ここに連れてきたいって思ってた。
まさか、叶うなんて思ってもなかったけど」
そう言う裄の顔が、いつの間にか涙で歪んでた。
それはどんどん溢れ出して、裄も気付くほどだった。
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