目の前の景色を見つめながら、裄は呟いた。 初めて聞いた、裄の過去。 「親父の転勤でな、今の町に引っ越したんだ」 そう言う裄の表情は、どこかを懐かしんでいるようにも見えた。 「あそこに体育館見えるだろ?」 裄の指差す方向に、少し大きめの体育館が見えた。 「俺ずっと、あの体育館でバドやってた。 あそこが笠原裄の始まりだよ」 裄はそう言って、あたしを見て微笑んだ。 この海の見える町が、裄の生まれた場所。 裄はこんなにも自然の溢れる町で、育ったんだね。