そして、なんと言ってもこの景色。 海沿いにあるこのホテルからは、雄大な海が一望できる。 海が大好きなあたしには、最高の場所だった。 「裄、裄っ! 景色すごいよー!」 ベランダに出て、興奮しながら裄を呼ぶ。 裄は苦笑して、あたしの元へとやってきた。 「浅海、興奮しすぎだから」 そう言いながら隣に並ぶと、さりげなくあたしの左手を取った。 そして、自分の右手と絡ませた。 「だって、海大好きなんだもんっ」 頬を膨らませながら言うと、裄は、 「知ってる」 そう言いながら、優しく微笑んだ。