「浅海ー! 裄くん来たわよー!」 「はーい!!」 準備は完璧だったはずなのに、こんな日に限って寝坊。 髪もメイクも適当で、あたしはカバンを持って階段を駆け下りた。 リビングに入ると、ソファに座ってる裄。 「裄、ごめんっ!!」 「早くしろよー。置いてくぞー?」 「え、やだぁ!!」 洗面所に走って、歯を磨く。 いつもは念入りに磨くけれど、今日はぱぱーっと終わらせて。 「ゆ、裄っ。できたっ。行こっ」 カバンを持って、裄を呼ぶ。 笑いながら立ち上がった裄は、あたしの髪をかきわけた。