「図書館で居眠りなんて、危ないだろうが」 そう言って、手を離したあたしのおでこに、 もう一発デコピンを放った。 「あ、危ない?」 あたしは痛さで涙ぐんで、またおでこを押さえた。 あたしを見た裄は、呆れたように、はぁーとため息を吐いた。 「お前は女って自覚がないのか」 「え?」 「女が一人で居眠りなんかしてたら、危ないに決まってんだろ?」 それぐらい分かれ、とでも言いたそうな裄の顔。 あたしは分かってしまった。 これは裄なりの心配なんだと。