「仁。遼多が言ったことは本当なの?」 すると桑原は、黙って頷いた。 それを見た浅海は、下を向いた。 俺たちの間に、沈黙が流れる。 そして聞こえた、涙の声。 「浅海…? 泣いてる?」 俺の隣で、しゃくりあげる浅海。 目からは、ポロポロと涙がこぼれおちる。 そんな浅海を見た遼多も、焦ることしかできなくて。 「浅海、どうした?」 俺は、なるべく優しく浅海に問いかけた。 浅海は溢れ出る涙を、必死に拭った。