「………仁」


嫌そうな声で、
浅海は桑原の名前を呟いた。

ものすごい笑顔の桑原。


「今日、浅海ちゃんち泊まるから」

「え!?」


はぁ!?

浅海んちに泊まる!?


「ななな、なんで!?」


浅海の声が、体育館中に響いた。

慌てて口を押さえる浅海。

そしてゆっくりと桑原を見上げた。


「遼多と約束したんだよー。よろしくね」

「はぁー…」


今ほど遼多を恨んだことはない。

桑原が浅海を狙ってるの知ってるくせに…

何考えてるんだよ、あいつは。