アップのため会場内を走っていると 聞こえたコール。 《~南高校、笠原くん、山本くん。1コートにお入り下さい》 「あっ、裄くんたち試合だ。ちょっと見に行く?」 「行かない」 「もう~、綾子~。いつまでも拗ねないの」 「別に拗ねてなんかないよっ」 ムキになる綾子。 けれど、1コート付近になると、走るペースがゆっくりになる。 「綾子、やっぱり槇くんの試合見たいんじゃん」 あたしが笑いながら言うと 「しっ、仕方なしにだよっ。やっぱり彼女だし、見ないといけないかなってっ」 「はいはい」