「言っとくけど、俺は笠原先輩とか知らないから。浅海ちゃんを絶対に奪う」 そう言うと桑原は、フッと笑って去っていった。 俺と浅海だけが、そこに残る。 「浅、海…」 「裄…」 不安そうな、浅海の顔。 次第に目には涙が溜まり、一気に溢れ出す。 「裄っ…ごめん……」 「ちょっ、なんで浅海が謝んの?」 「だってあたし…裄以外の人とキスした……」 「それはあいつが無理矢理したんだろっ。俺、気にしないから」 そう言って、優しく浅海を引き寄せた。