夜9時を過ぎた体育館裏は、光が少なく真っ暗だった。

壁に背中を預ける桑原。

そんな桑原を俺はじっと見つめていた。


「話って、何か分かってますよね?」


暗いけど、桑原が不気味な笑みを浮かべてるのが分かる。


「浅海のことだろ」

「そうっす。さすが笠原先輩」


そう言って笑う桑原に、俺は睨みをきかす。


「笠原先輩と浅海ちゃん、喧嘩したままなんすよね?」

「…それがなんだよ」


こいつの口調にも、
“浅海ちゃん”っていう呼び方にも、
イライラが募っていく。