「裄っ! おはよー!」 後ろから声がして振り返ると、 笑顔で駆け寄ってくる浅海がいた。 「おはよ」 俺は笑顔で返す。 こうやって朝から浅海に会えた日は、1日気分がいい。 「今日、国文学あるね」 「そうだな」 「裄と一緒の授業、楽しみ」 学部の違う浅海との、唯一一緒の授業。 浅海と同じ授業ってだけで、やる気に変わる。 「綾子と槇は違うんだよねー。一緒が良かったな」 寂しそうな浅海に、俺は耳元で囁いた。 「俺がいるから、いいじゃん」