「無理言うなよ‥」

「なんで? だって喧嘩してるんでしょ? なら怒ってるフリしてればいいじゃん」


簡単に言うんじゃねぇよ‥

喧嘩してるからこそ、仲直りしなきゃなんないのに。


「無理に決まってんだろ。そんなワガママ、聞けねぇよ」

「お願いっ! そしたら諦めるし、裄って呼ばないから!」


そう言う恩田の顔が真剣で、俺は渋々信じてみることにした。

これが間違いだとは、気付かずに。


浅海と喋れない日々は、本当につらくて。

浅海に会いたい。

会って、思い切り抱きしめたい。

けれど、そんなことは叶わない。