♪♪~♪~ タイミング良く、流れる着信音。 誰からか確認もせずに、電話に出た。 『もしもし、裄ー?』 《裄っ》 とっさに浅海の顔が浮かんできて。 “浅海っ” そう言おうとした時、聞こえた声。 『あたしー。璃紗だけどー』 電話の相手は恩田だった。 いくら呼び方が一緒だからって、浅海と恩田を間違えるなんて、最悪だな俺って。 「なに?」 少し低いトーンで返す。 『ちょっと話があって、今裄んちの前にいるんだけど』 「は?」 カーテンを開けて外を確認すると、 本当に恩田の姿があった。