裄を傷つけてるのは分かってた。 けど他に、言い方が分かんなくて。 どんな言い方をしても、裄を傷つけるのは分かってたから。 「けど‥‥‥俺はどうしても、浅海と別れたくない」 痛いくらいに伝わってくる、裄の気持ち。 こんなにあたしを想ってくれてるのに、逃げることしかできない自分が嫌になる。 けれど。 「でも裄‥‥あの喧嘩以来、あたしのこと避けてたじゃん‥」 やっぱりあたしは、裄を傷つけることしか言えない。 避けてたのはあたしも同じなのに。