あたしは必死に涙を止めて、家へと帰った。

何をしていても、浮かんでくるのは裄のことばかり。

裄が好きだから、きれいな思い出のまま終わりたいの。

これ以上裄と一緒にいて、裄を嫌いになりたくないから。


裄といて、本当に幸せだった。


裄を好きになったのは、中学2年の時。

大会にも慣れてきて、まわりを見る余裕が出てきた時。

たまたまあたしの試合の主審をやっていたのが裄だった。


あたしの目は、裄に釘付けになって。

あたしはその試合を勝利で納めた。