「ただいまー」


遼多が元気良く叫ぶと

奥からパタパタとスリッパの音がした。


「浅海!」


母親が、眉を下げて心配そうな顔で飛んできた。


「大丈夫? 遼多から泣いてるって聞いて、ずっと心配してたのよっ?」

「うん‥大丈夫だよ。心配かけてごめんね」


ほんとは大丈夫じゃないけど。

裄とはしょっちゅう喧嘩してるけど、こんな本格的なのは初めて。

大丈夫なわけがない。


けど、これ以上心配はかけられないから。

作り笑顔でごまかした。