走って、ひたすら走って。

目的地なんて分かんないまま走り続けた。

まっすぐなんて帰れない。

こんなグチャグチャな顔で、電車なんか乗れるわけないし。


近くに公園が見えた。

公園内のベンチに腰を下ろす。

涙はまだ止まらなくて。

こんなにも裄が好きなんだと、気付かされる。


あたしは携帯を取り出して、耳に当てた。

プルルル プルルル プルッ

呼び出し音が途切れて、声がした。


『姉ちゃん?』