「浅海、待てよっ!!」 あたしの腕を、裄が掴む。 振り返るあたしの表情は、冷たい。 笑えるわけないじゃん。 「なんで、怒ってんの?」 なんで? 分かんないの? あたしの痛みにも気付かないで。 「俺、何かした?」 そんなこと、聞かないでよ。 あたしの気持ちにも気付いてほしい。 「ねえ、浅海」 裄がだんだんイライラしてるのが分かる。 なんで裄がイライラしてんの? イライラしたいの、こっちだよ。 裄のその態度で、あたしの中の何かが切れた。