裄に手を引かれながらも、未だ不機嫌なあたし。 どうしてくれようか、恩田璃紗。 あたしの裄に手を出すなんて、百万年‥‥‥ あっ、 ちがうちがうっ。 今のあたしじゃない。 「また頬膨らませて。今回はどうしたんだよ?」 いつの間にか膨らんでしまっていたあたしの頬を 振り返ってツンッと押す裄。 「んー‥いろいろー‥」 言えないよね。 恩田さんが裄を奪おうとしてるなんて。 「何? 俺には言えねえの?」 裄の優しさに、つい甘えたくなる。 けどここは我慢、我慢。