いい人だと思ってたのが間違いだった。 絶対に裄は渡さないもん。 中学の頃から好きだったから何? あたしだって中学の頃からずっと、裄を想ってたもん。 この想いは、誰にも負けないんだから。 一人で闘志を燃やしていると、 「槇、綾子、ごめん。俺ら先帰るわ」 裄の声に、あたしは見上げた。 すると裄が、あたしをじっと見下ろしていた。 「お前また変なこと考えてんだろ。話聞くから、帰るぞ」 そう言って、あたしの手を引く裄。 ていうか、変なことって。 失礼なっ。