膨れるあたしの右手を、裄が握った。 それだけで、赤くなるあたしの頬。 「じゃあ恩田。またな」 「ああっ、うん…」 呆気にとられる恩田さんに挨拶をして、裄に手を引かれ講堂を出た。 「浅海」 講堂を出てちょっとしてから、裄が口を開いた。 「なんか、ごめんな?」 「え?」 「恩田のこと…」 恩田さん? 「いい思い、してなかっただろ?」 裄、気付いてたの? 「綾子とかすっげー恩田のこと睨んでたし」 苦笑しながら言う裄。