「槇っ! バド部見学に行くんでしょっ? 行こっ」 「綾子?」 恩田さんを見た綾子は、槇の手を引いて講堂から出て行った。 「どうしたんだ? あいつ」 綾子を指差しながら、不思議そうに聞く裄。 「さ、さぁ?」 “恩田さんから離れたかった” なんて、言えるわけないよね。 「じゃあ、俺らも行くか。ん」 「へ?」 いきなり差し出された、裄の左手。 「お前、ちっちゃいから、はぐれそうだし」 「ちょっと! はぐれないよ!」 「はははっ、嘘だって」