「梨元さん、呼んだぁ?」 「うん、呼んだ」 恩田さんが近くまでくると、裄と槇が『あっ』と声を揃えた。 「恩田じゃん。久しぶりー」 「笠原と山本。久しぶりだね」 「元気だった?」 仲良く話をする三人に、ついていけない綾子。 「え、誰?」 あたしの制服の裾を引っ張りながら綾子が聞いた。 「裄と槇と同じ中学だった恩田さん。バド部だったんだってー」 「え、そうなの?」 綾子はびっくりして恩田さんに目を移した。 綾子に気付いて恩田さんはにっこりと笑った。