あたしは、悪魔と契約しました。

「手。絶対に、離すな」


男はあたしの耳元で、エンジンの音に負けないように言った。


それにあたしは、コクンッと頷く。


そんなあたしの返事を見ると、男はバイクを走らせた。


風を切るように、バイクは走る。


全てを置き去りにし、まるで自分たちだけの世界のように感じた。


あたしは男の後ろで、始めて見る流れる風景（ケシキ）の中に置いていかれないように、、、


男へと回した腕に、ギュッと力を込めた。


どこを、どう走っているのか？


それさえも、あたしにはわからない。


だけど、どれくらい走ったかはわからないけど、、、


気付けば、いつもの河川敷へと着いていた。


そこで、男はバイクを停めた。