「あなたがここに来たのは、偶然だったかもしれない。だけど、あなたは家の前で倒れた。それって、そうゆう運命だったんじゃないかな?」

「私たちには、子供はいない。そんな私たちの所に、君は来た。神様が、私たちにくれたご褒美だ」


そんな温かい、老夫婦の言葉。


「行く場所、無いんでしょ?」


奥さんの言葉に、素直にあたしは頷く。


「良いわよね、あなた?」

「私は、反対しない」


そして始まった、老夫婦との生活。


親がどんなものか知らないあたしに、老夫婦は本当の子供のように接してくれた。


間違いを犯せば怒るし、良いことをすれば褒めてくれる。


小さな診療所で旦那さんは、お医者さん。


奥さんは、看護師さん。