そして、、、


「思い出すな」


そんな言葉を、あたしに向ける。


「思い出してた訳じゃない。ただ、、、考えてただけ」

「何を」

「普通が、何か」


あたしの言葉に、哲也は眉を細める。


普通じゃないって、イケないことなんでしょ?


おかしいことなんでしょ?


今、あたしの記憶ないのも相当おかしな話だ。


でもやっぱり、それはあたしが”普通”じゃないからなんじゃないの?


「普通の人間なんて、居ねぇ。だから、普通に囚われる必要もねぇ」


普通の人間は、居ない?


普通に囚われる必要もない?


あたしは、普通に囚われた?


哲也は先ほどより少しだけ、キツクあたしの手を握り締めた。