「無理に、思い出さなくて良い」


頭を抱えていたあたしに、タカさんは言う。


思い出さなくても良い。って、、、


それで、良いモノなの?


だって、あたし自身のことでしょ?


タカさんの言葉に、あたしは不信感を覚える。


「本当に、思い出さないで。千尋にとって必要なことなら、必ずいつかは、、、思い出すから」


その、いつか。って、、、いつのこと?


それに、記憶に「必要」とか「不必要」って、あるの?


「あたしの、母親って誰?」


思い出すまで「待て」と言われたのに、あたしは尋ねる。


タカさんは、困ったように笑みを溢し、、、


「今の千尋に、俺らが教えて上げられることは何もない」


そんな言葉を、あたしに向けた。