「千尋は、目の前で、、、」


さっきから「ちひろ」、「ちひろ」って、誰のことを言ってるの?


「千尋って、誰ですか?」


話し始めた男の言葉を遮り、あたしは尋ねる。


あたしの言葉に、男たちは心底驚いたようで固まる。


「千尋は、、、」

「お前、自分を誰だと思ってる」


後から来た男の言葉を遮り、始めに部屋に居た男があたしの目をジッと見て、尋ねる。


あたしは、あたしだ。


だから、あたしは、、、


え?あたしは、、、誰?


男の言葉に、必死に自分が誰か探すが、、、見つからない。


中々答えないあたしに、聞いてきた男が口を開く。


「タカさん。コイツ、もしかして、、、」

「もしかしなくても、、、記憶がないかもな」


男の言葉に、「タカさん」と呼ばれた男が答える。