「そ、よかったじゃん」
「、それだけ?他に何か、アドバイスとか…」
恋愛の達人、彼方様ならなにか授けてもらえると思ったけれど甘かったか
「お前だって、慣れてるだろ。」
そんなこと、なくは…ない
中学から上がって、なんか告白が増えた
申し訳ないけど、断ってきた
呼び出しだって初めてじゃない
でも
「なんかさ、違うんだよ
今までと、全然違うんだ
落ち着けない」
全然違う、この気持ちはなんなんだ
「そいつのこと、本気で好き?」
「当たり前だろ!」
こんな質問に返す言葉は一つしかないに決まってる
「…だからだろ」
やっと、彼方がこちらを向いた
よく言えばクール
悪く言えば無愛想
そんな顔が、笑顔を作っていた
「本気で好きだから、だろ」
その言葉に、俺はすごく納得した
そういうことか
俺は、本気で
伊織に恋をしている
「…そうだね」
そう返して、俺も笑った
「お前らしくしろよ。
笑ってないとお前らしくない」
「お前も元に戻れよ
彼方が笑うなんて、なんか気持ち悪い」
たまにはいいだろ
と彼方は教室に戻りつつこちらに手を振った
横じゃない
帰れ、の意味がこもった追い払うような感じで
彼方らしい行動に、なんだか落ち着いた
「頑張るか」
自然と声が出た
告白と決まったわけじゃないけれどな
そう自分に突っ込んで、昼からの授業に臨んだ

